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あの時から17年がたった。
俺はあの年に生まれた子供だからその当時の事は良く知らない。
あの時、世界が終わりを迎えた時、俺たち人類は絶滅しかかった――らしい。
テレビやラジオ何かではいまだに17年前の事を取り上げる事はあるし、学校なんかでももちろん習ったりはした。
でもそんな実感なんかただの高校生の俺なんかにはよく分からなかったし、大抵のヤツが記憶の片隅に追いやられちまってるだろう。
とりあえず、俺たち人類は無事あの災厄を乗りきった。
ただ――。
やっぱり17年前のあの事件はこの国、いや世界中にその影響と爪痕を残しているのも確かだった。
大まかに説明するとだ。
2000年1月1日午後12時34分56秒。
その時を持って全世界の時計が停止。
そしてその数分後、空から――いや、天が堕ちた。
いや、やっぱりこの言葉は適切ではないのかもしれない。
だが、世界中の人々はあの災厄をこう呼んだ――黙示録、アポカリプスと……。
まずはささやかな変化、とは言っても信じられない光景だったらしが……、空が膨張しドーム型に膨らんだ。
それもものの数分で弾け飛び、そして天から巨大な光の柱が堕ちてきた。
それは首都東京のど真ん中に降り注ぐと、わずか一瞬で東京23区を丸々消滅させた。
言葉のアヤじゃない。
文字通りすべて、瓦礫一つ残さずすべて消滅したんだ。
残されたのは東京23区分の巨大なクレーターと、神々しいまでに光輝く光の柱だったらしい……。
そしてそれと全く同じ現象が全世界同時に起きた。
首都や経済都市、人口密集地を狙い撃ちにするように降り注いだ光の柱は、全世界の人口の半分以上、数十億の人間を一瞬にして消滅させた。
もちろん災害によって各国の首脳及び政治家もろともすべて吹き飛ばされた世界各国は未曾有の大混乱に陥った。
だが、事態はそれで終焉を迎えたわけではなかった。
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