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「ねえ犬夜叉」
「あぁ?」
珊瑚と合流した犬夜叉は、いつものようにかごめを背負って走っていた。隣では珊瑚を乗せた雲母が低く飛んでいる。
「何で、弥勒様を連れてこなかったのよ?」
「…ああ?どういう意味だよ。
さっきからワケわかんねえこと―」
「だからぁ、今までずっと弥勒様と一緒だったんでしょ?」
「情報集めている時はな。
その後一旦村長の家に戻ったけど、まだお前らがいなかったんだよ。
そしたらあいつが」
『まだ戻ってきてないようですね』
『夕方には戻るんじゃねえの?』
『ではそれまでの間、散歩でもして来ますか』
「…だから俺は、お前らが戻って来るまで村の中をうろついてたぞ」
「だから村長さんの家にいなかったの?」
「俺はじっとしてるのが嫌いなんだよ。体を動かしてねえと、体が鈍りそうで」
ぶつぶつと言いながら走っていると、今度は珊瑚が口を開く。
「じゃあ、法師様とは別行動だったんだ」
「ああ」
「ちょっ、ちょっと待て!」
慌てた様子で七宝が叫んだ。
「おらには矛盾しているようにきこえるんじゃが…」
「「…は?」」
三人の目が丸くなる。
「おら達が犬夜叉たちの行方を村長に聞いた時『法師様はあの少年と共に外出された』と言っていたではないか?」
「馬鹿野郎!何でそれをもっと早く言わねえ!?」
怒声と共に、速度が上がる。
「だったら、弥勒と一緒にいた『俺』は誰なんだよ!?」
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