4.偽(いつわ)れぬ者

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  もう少しだ。   あと少しで爪が届く。  誰も邪魔する者はいない。 「弥勒、何やってんだよ?」  犬夜叉はさっきから祠の周囲をグルグルと回っている法師に、呆れた視線を向けた。 「これが探していた祠なら、何か供物があるはずです」 「だれかが盗んだとか…」 「何と罰当たりな」と呟き、何かの呪文を唱え始める。  …ケン…ソ…ワカ…  犬夜叉は足音を立てずに、そろりと弥勒に忍び寄る。彼は背を向けたまま、右手に数珠。左手で印を結んでいた。 「…なあ、弥勒」 「何です?」 「その女はよ、生前は人間だったんだろ?なのにどうやって、死後に妖怪化したんだ?」  その一言に、弥勒は動じずに答える。 「それが分からないから、こうして歩き回っているのではないですか」 「ひょっとして、ずっと待っていた男に逃げられたとかじゃねえの?」  閉じられていた瞼が開き始めた。 「だとしたら、くだらねえよなあ。帰って来ない奴を待ち続けることなんざ、無駄だと思わねえか?」  弥勒は背後の犬夜叉へと振り返る。今、何て…? 「では…私からもひとつ」 「あぁ?」  そこでわざと大きく息を吸い込む。 「…あなたは、誰ですか?」 「……!」  犬夜叉の心臓が跳ねた。 「お前、何言ってんだよ?」  
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