4.偽(いつわ)れぬ者

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 一気に妖怪の大群を一掃して走っていると、目の前に巨大な樹木が見えてきた。  この前、弥勒が倒れていたあの木だ。 「かごめ、しっかり掴まってろよ、飛ばすからな」 「…うん!」  その横を、雲母が並んで飛び続ける。しばらく走ったあと、古びた祠を発見する。  そして、祠の前に立つ二つの人影は。 「弥勒―っ!」  弥勒は顔面に迫る爪をかわし、釈杖(しゃくじょう)で片足を払い、転ばせた。  敵が立ち上がる前に身を翻し、祠から離れる。 「逃がすかっ!」  素早い動きで法師に急接近し、今度は心臓めがけて腕を突っ込む。       ドガッ!!  急所は外したが、正面から拳を受け、弥勒は軽々と吹っ飛んだ。 「がっ…!」  そして、勢いよく樹木に背中を叩きつける。  先ほど引っかかれた傷のせいで、素早い動きに対応出来なくなっていた。 「とどめだぁ!」  誰かが猛ダッシュで走り出す敵の前に立ちはだかり、行方を阻む。  瞬間。 「てめえかあ!?」  犬夜叉の右ストレートが敵の鳩尾(みぞおち)に命中した。
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