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今日も彼は窓際の陽だまりで丸くなっている。
黒い毛玉のようなその姿を見て、私は小さく微笑んだ。
いつも通り、黄色い彼用のお皿に出してあげた、ネコ缶をきれいに食べ終え、彼は眠る。
あの雨の日から、私と彼の日常となったこの時間は、今日も変わることなく続く。
彼と出会うまでは、その当時を悲しいとは思っていなかった。
泣くことにはもう飽きていたし、1人で生きていくのだと、決心していたから。
今更、誰かに頼るなんて考えてもいなかった。
両親の死は、私にそんな考えを生み出させた。
誰かと共に生きるってことは、その誰かの全てを見ていくことになる。
生も死も、なにもかも。
別れという必然に、私はもう耐える自信が無かった。
だったら、出会わなければいい。
そうすれば別れずに済むのだから。
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