分岐点

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「亮ちゃーん。あとでお仕事頼んでいいかね?」 「はーい!また3区まで届けたらいいの?」 「うんうん、宜しくね~ もう少しで出来上がるから持って行ってね」 はぁいと、もう一度返事をしひらひらとその手を振る。 亮は主に届け物を仕事として生活費を稼いでいた、初めは近所の大人のちょっとしたお使いだったが、今ではちょっと危険なところまで請け負う。 とは言ってもまだスクール生で第三ホームを出る事のできない身なのであくまでも第三ホーム内での仕事だ。 ふと気づくと左腕に装着している通信用のCOMPにスクールからメッセージが来ており、仕事の前に用事を済ませておくかとスクールに足を向けた。 「あ、月満君。教授が研究室に来なさいって伝言を預かってるよ」 「いつもありがとうございます~ 守衛さんに言わなくってもCOMPで送ればいいのにねぇ~」 「ははっ あの人は通信機器嫌うからねぇ」 守衛との会話も日常で、教授とはこのスクールの生徒へ様々な事を指導している先生の呼び名であった。 亮のお散歩癖を困った顔でいつも注意する、この教授が亮は大好きだ。 研究室とは、教室とは違う先生の個室の事でお説教などは専らこの部屋でされるので亮は通い慣れている。
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