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「月満でーす!きましたー!」
「おー、入りなさい」
入室するとそこは文献にある図書室のような印象をいつも受ける。
くすんだ木の本棚は天井までずらりと本を積めて部屋の両端にそびえている、中央に簡単な机と椅子が置いてあり、ここで来客と話すようにしてその奥の窓際には重厚な机と椅子がゆったりと配置されていた。
「木製」の家具は価値がとても高く、今では職人ももうほとんどいないと聞いているので、この部屋の家具はとても高価なものなのだろうと亮は家具に触る時に少しだけ注意をする。
「まぁ、かけなさい。今日はお説教ではないからね」
ふんわりと笑う教授はその顎から生える立派な髭を撫でる。
老人なのだが、独特の頑固さもなく生徒の話をいつもニコニコと聞いてくれる、大人のよく使う理不尽な押し付けはないがお説教は本人がなっとくするまで延々と続くので皆怒らせないようにしていた。
と、いうのは建前なのかも知れない、皆この老人に嫌われたくないのであろう、親もいない子供はとても多く生きていくためには自分が稼ぐしかないこの世の中で「親」を思わせるのはこ老人だけなのだから。
「はぁい。お説教される事はしてないので、そういう心配はなしで来ましたよ?」
「はっはっ そうだろうね、最近は仕事に忙しくてなかなか冒険できていないようだからね」
「そうなんですよー!忙しいのは有難いんですがね~もう少し頑張ったらしばらくお休みしてゆっくりしようかなーと思います」
明日の生活費を稼ぐのも大変な世の中で、こんな気軽な事はホーム内で口にはとてもできない。この老人だから甘えてこんな事も口にしてしまうのだろう。
「そうだね、君は少しゆっくりする事を覚えた方がいいね」
「むぅ、だんだんお説教の流れなんですがぁ~」
「いやいや、すまなかった。今日は君の将来について少し話がしたくてね」
「将来・・・ですか?」
「うむ、もうすぐ卒業じゃろう?そこである仕事を君に話して、興味があるなら養成所へ入れるようにすすめてみようと思ってな」
「それって・・・まさか・・・」
「そうじゃ、デヴィル・バスターじゃ」
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