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角部屋のおかげで、すぐ先は、非常階段、と言っても距離がないわけではない。
ベランダの柵に登って、螺旋階段に飛びうつるとしたら、体操選手並のバランス感覚と跳躍力が要るだろう。
だが、ヤハリ主役、敬太は、それを簡単に飛びうつると、早足で降りていく。
最後の柵を飛び越えてフィニッシュのハズだったのだが、そこには、見たことのある顔があった。
ハッハッハッハッ……
息をきらせる聡は、膝にてをついて随分苦しそうにしている。
その横に並ぶ竜二は、ニヤリと嬉しそうだ。
「逃げられると思ったか?
こっちには紗耶香と仁がついてるんだぜ!!まさかとは思ったが、紗耶香の言った通りここから逃げ出すとわな?お前落ちたらアブねーぞ?」
確かに危ない……
俺だって普通の人間だったらこんな危ない事なんてしない。
でも、自分の能力を過信しているからの行動なんかじゃない。
俺にとっては、いや、俺たちみたいな能力者にとっては、何でもないものなのだと言うだけだ。
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