16084人が本棚に入れています
本棚に追加
だから、簡単に読まれないはずだったのに、流石は紗耶香……俺の逃走経路は、彼女にはバレバレのようだ。
確かに、幼なじみであるコイツらをまくのは、至難の技、頭の良い仁や紗耶香は勿論、運動神経の良い竜二に、コンピューターに強い聡、こっちの世界では、コイツらにロックオンされるとなかなか逃げ出す事は出来ないだろう。
本当に面倒な奴らだが……
敬太は、ニヤリと笑うと、目の前の竜二目掛けて全力で走り始めた。
勿論竜二は、体制を整え捕まえようと腰を落とす。
体力に自信のある竜二だ、それは、想定範囲内でありむしろこのましい。
敬太は、一瞬右へフェイントをかける。竜二がそれにかかると、竜二の左膝と肩をかけ上がる様にして飛んだ。
竜二の右後ろに構えていた聡の頭上を舞うように過ぎ去った敬太は、軽やかに着地すると、更にスピードを増し、住宅街へと逃げる。
「やられた!!」
竜二は、振り替えると敬太を追う。
聡は、肩掛けの小さめのバックを背中からお腹の前に動かすと、中からタブレットを取り出した。
最初のコメントを投稿しよう!