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竜二は、ニヤリと嬉しそうに歪む表情を我慢しながら、トイレのドアを一つづつ開けていった。
いくら筋肉バカと言われていても、この状況での逃げ道は、1つしかない事くらい分かる。
しかし、二つあるドアの二つ目にも彼はいない。
「おーい。聡、仁、居ないぞ?
まさか、女子トイレか?!」
竜二が驚いた顔で、そう言った。
「もう良いよ。帰ってこい!携帯電話の電源も切られたし、あの敬太が、女子トイレに入るとは考えられない。
お前が捕まるぞ?」
「えぇ!それは嫌だけど、敬太いったい何処にきえたんだろ?」
辺りを見回すが、彼の隠れていそうな場所はないはずだ。
本当に消えてしまった。
竜二は、後ろ髪を引かれる様に何度も何度も振り返りながら皆の待つ方へと帰っていった。
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