堕ちる愛と朽ちる愛

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「一つだけ聞かせて。」 「何?」 「どうしてあたしを抱くの?」 あなたは逃げるように煙草を咥える。 そうやって黙り込むのは卑怯だと言わなかった? 涙が出そうなのを必死に堪えて笑う。 困った時に鼻をかく癖。 彼女の前でも出ているんでしょう。 「……ごめん。困らせて。」 結局あたしが折れる。 困る顔なんて見たくない。 「あ、違う。ごめん俺こそ…。」 あなたを困らせない。 ねぇ、それは断言できるの。 あなたに会わない。 ねぇ、そんなこと無理なの。 あなたの全てが欲しい。 そう思うの。 立ち上がってキスをした。 この唇が好き。 初めてキスをした時に言った。 そこからあなたに夢中なのに…。
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