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でもヒイロはいなくなった。小学校五年のセミもうるさい夏の日。夏休みもあけてない暑い日に、いなくなった。
サヨナラも言えなくて、あまりに突然で、夏休みがあけて、初めてオレは自分の小学校生活の全てがヒイロと共にあった事に気付いた。
たくさん、たくさん泣いて、体中の水分が無くなるんじゃないか、ってぐらい泣いて、もう涙も嗚咽も出なくなった頃に、随分と頭がスッキリした。
ヒーローはいつか遠い存在になるんだ。
自分の子供の頃を懐かしそうに話すお父さん。その頃持ってたおもちゃは、今はどこにあるか分からないって言ってた。
遠くに行ったヒイロ。
さよなら。
オレのヒーロー。
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