最初の仕事

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人を殺せ、と言われても。 そうだなー。 じゃ、まず、俺が個人的に嫌いな奴を。 :トランクスにTシャツ姿で起き出し、下にスウェットをはくと、サンダルをつっかけて部屋を出る。 隣の部屋のドアを軽くノックする。 少し待ち、ドアチャイムを鳴らす。 「あい?誰?」 :インターホン越しでも、酒の臭いがプンプンしそうな男の声。 すいませーん。 隣の部屋のもんですけど。 ちょっといいですか? :向こう隣の部屋のドアポストから新聞を抜き取る。 「あ?何か?」 :ドアノブに体重をかけながら、男が体を半分程乗り出す。 この新聞、間違ってうちに来てたんですけど、そちらのですか? :聞きながら、手に握った善悪カウンターを隠す様に持った新聞を見せる。 「あー、違います。 オレ新聞とってないんで。」 :玄関を後ずさりしてドアを閉めかける。 あの、じゃ、これ、要ります? :カウンターの目盛りを見ると ▼悪ー85▼。 針が、随分左に傾いている。 「要らねーっすから。」 あ、そ。 :消去ボタンプッシュ。 まじ? 消えた。 やった。 :突然力の主を失ったドアが、ゆっくり外へ開いてくる。 :そのドアを静かに閉める。 新聞を元のドアポストに差し込み、自分の部屋に戻る。
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