アサノコト

1/1
前へ
/17ページ
次へ

アサノコト

次の日の朝、彼女は朝ご飯の支度をしている。 僕はご飯の炊けるニオイで目が覚めた。 「おはよう。」 「おはよう。」 軽く振り向き、返事を返してくれる彼女。 僕はまだ冴えない頭をかきながら、新聞を取りに行った。 「昨日の事はごめん。」 テーブルの上に並べられた朝食のいいニオイにお腹のムシも動き出し、小さく“ぐぅ~”と鳴る。 椅子に腰掛け、取って来た新聞を広げ目を通す。支度が出来、彼女も椅子に腰掛ける。 新聞を読むのをやめ、彼女の顔色を窺う。 「いただきます。」 必要以上なことは話したくないのか黙々と食べ始める。 「い、いただきます。」 「昨日のこと、もう気にしてないから。」 「えっ…」 彼女のその一言に救われた気がした。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加