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彼女が飛び出していく2日前、僕が仕事から帰宅すると部屋の奥から彼女の笑う声が聞こえた。テレビでも見て笑っているのだろうと僕は予想していたが、そうではなかった。
「あっ、お帰りなさい。」
「ただいま…今日は早かったんだね。」
同棲しているとはいえ、お互い社会人として働いているのだ。
「えぇ、久々に早く終わったから。」
僕は着ているものを脱ぎ、普段着に着替え、彼女の近くに腰を下ろした。
「そのネコ、どうしたんだい?」
楽しそうに仔猫とじゃれ合う彼女に聞いた。
「捨てられていたの、帰宅途中の道に。酷いでしょ?ダンボールに詰められて、ゴミ捨て場によ。ミィミィ泣いていたから連れて帰ってきたの…みぃ、ほらおいで。」
もう名前を付けたのか彼女はそのネコを“みぃ”と呼んだ。
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