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「っ、耳はあかんやろぉ!!」
つい福の上から飛び退き、ついでにソファから落ちて床を転がる。
「あっはっは!何やねんそのリアクション!」
悪戯が成功した子供みたいに、無邪気に笑い転げる福。
「なー、もー」
「昼間っから盛るからや発情猫」
「俺はいつでも発情期やで!(対福)」
「あほ」
よいしょ、と立ち上がる福に何となく覚えた不安感。
「出掛けるん?」
「よぉ分かったな」
本物の猫か、笑う福の腰回りに抱きついてみる。
「嫌にゃ~。行かんといてにゃ~」
ぐりぐりと頭を押し付け、甘えてみる。そんな俺を引き摺る様に準備を続ける福田。
「はいはい、コンビニ行ってくるだけやから。昼飯まだやろ?」
「俺も行く」
「頭とケツに生えとるもん良く考えてから発言せい」
「隠してくもん」
「コンビニなんて連れ立って行くもんや無いやろ?」
「ちょっと、待っとき」
玄関手前、くるりと向きを変えて俺の頭を、まるで本物の猫の様にわしゃわしゃと撫でた。(わしゃわしゃは、犬か?)
その顔が、凄く優しげだったから
「(ま、ええか)」
渋々と腕の力を緩める。
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