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「いただきます」
「どうぞ」
ぷし、と缶の栓がなる。
開けてから考える。夕食と共に酒を飲む男と、カレーをウキウキとつつく奴。
酒好きと甘いもの好き。
どう考えても俺の方が男っぽいのに、こいつは男前で、俺は良く可愛いと言われる。
「(外見と中身は比例せんもんやね)」
…別に自分外見が可愛いと思っている訳では無いが。
「…? どしたん?」
スプーンをくわえたまま固まる徳井に、少々の不安がよぎる。いや、今日も完璧な味だった筈だ。市販のルーだし。
「ルー、変えた?」
「いや、いつものやけど」
「ふーん」
無表情でカレーを見つめる徳井によぎったそれが段々積もっていく。変わったことなんて何も――
「(あ、)」
にんまり笑った徳井に、『隠し味』を入れたことを思い出した。
「全く、福ちゃんは素直やないなぁ」
「何がやねん」
頬は赤くなっているだろうが、こいつの言い種が気に入らないので、所謂ツン全開。いや、ツンデレじゃないが。決して。
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