第壱の獲物

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「お家ではいつも何をしているの? 予習復習は毎日しているのかしら?」 「先生、ごめんなさい。 僕はお家では宿題しかやらないんだ。 授業をしっかり聞いていればテストに出る問題は答えられるから。 先生のお陰ですよ。」 「あら! みんなにも見習って貰いたいわぁ。 それじゃあ、お家ではテレビを観たりゲームをしたり?」 「宿題を済ませてから友達と外で遊んで、晩ご飯を食べながらパパとママと話をしてるかな。 テレビは観るけどゲームはあまり好きじゃないんです。」 「へぇ。 読書は?好き?」 「好きですよ! 日本文学はパパが好きで。 あっ、ママは推理小説が好きなので色んな本を読みます。」 「先生のお家にもね、本が沢山あるのよ。 今度遊びに来ない? お母様には先生がご連絡するわ。」 「でも、図書館へ行けば…」 どうしてこんなにも欲求丸出しなんだこの女は。 誘い方が下手だ。 これでは下心のある獣しか釣れないだろう。 …下心のある獣…? 僕の事じゃないか! 「あ、じゃあ今度遊びに行っても良いですか?」 女の顔がパッと明るくなった。 楽しみにしているよ、先生…
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