関口くんの日常

9/16
前へ
/16ページ
次へ
    ……さて、どうやって帰るかな。     隣で女は軽い寝息を立てて眠っている。 ①起こして送ってもらう。 ……のは無理だな。 ちょっと残念な顔と体型の女と、ヤるくらい無理だ。     と、俺の息子が言っている。 断じて俺ではない。         俺は、女の頭の下から起こさない様に慎重に腕を抜いてから、煙草に火を点ける。     肺の奥まで煙を吸い込みフゥーと吐き出すと、生きてる実感が湧く。 体には良くないと知ってはいるが止める気はない。     煙草、酒、女。     この3つがないと俺、多分死ぬ。 ……つくづく俺って俗物だなぁと己の業の深さに嫌気が差……さない。     悟りを開くのはもっと俗世を楽しんでからで充分だ。 息子がギブアップしたら考える。     「……さて、どうするか」     灰皿に役目の終わった、体に悪いヤツを押し付けながら、帰る手段を思案する。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

259人が本棚に入れています
本棚に追加