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「レオンさんがどうかしたんですか!?」
「早くしないと死んじゃう!」
サリーナさんは待ちきれない様子で私を横抱きに抱き上げ、階段を駆け降りる。
そして外に無造作に停めてあったピンクのバイクに跨がり、私を膝に乗せたまま上昇させた。
私は振り落とされない様に、必死でサリーナさんの分厚い胸板にしがみつく。
物凄いスピードで目指した先には、この町唯一の総合病院があった。
サリーナさんは病院の屋上にバイクを放り投げ、再び私を抱き上げ走り出す。
病室のスライドドアを足で乱暴に開けると、サリーナさんは一瞬立ち竦み、私を降ろした。
「レオンちゃん……っ! 間に合わなかった……!」
その場に崩れ落ち、すすり泣くサリーナさん。
ベッドの傍には、多分彼女だろう、サリーナさんのお店の人が肩を落として何度も何度もレオンさんの頬を撫でていた。
「……レオンさん……?」
触れるとまだ温かい。
しかしそこに魂がない事がひしひしと感じられた。
「ごめんなさい……もう少し早ければ……っ!」
「サクラちゃんのせいじゃないわ……来てくれてありがとう……っ!」
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