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レオンさんの彼女は強く私を抱き締める。
私は彼女の背中をただ撫でてあげる事しか出来なかった。
少し落ち着いてきた頃、私は病室の備え付けのティーポットでお茶を淹れ、応接用のテーブルに差し出した。
二人はありがとうと呟き、お茶を口にする。
そして、レオンさんの彼女が私に向かって話し出した。
「彼ね、ずっとサクラちゃんにごめんなさいって謝ってたの……」
「私に……?」
「ええ……そしてサクラちゃんを守ってくれって……。なんの事か解る?」
「え……? さぁ……?」
レオンさんが……?
謝る意味もわかんないけど、守ってってどういう事?
その時、病室のドアが勢いよく開き、シュウが入ってきた。
動かなくなったレオンさんを一瞬見つめ、私の腕を引っ張り病室を出た。
「ちょっと! シュウ! 失礼だよ!? どうしたの!?」
「これから魔王城へ行く」
「魔王城へ?」
「あそこが一番安全だ」
「安全って?」
シュウは病院の外に出ると、私の脇を持ち上げバイクに乗せ、自分も跨がると、急上昇した。
そしてマンションに戻り、バックパックに荷物を詰め始めた。
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