◆六章◆

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  しかし やがて体力に限界が来て 木の幹に寄りかかり 呼吸を整える。 いくらか 緩やかになった 自分の呼吸。 その合間に 何者かの息遣いが聞こえて。 心臓が ドクリと跳ねる。 耳を澄ますと 息遣いと共に 低い唸り声も聞こえて来る。 『森には 獣がいて危ないから』 ライルの言葉が蘇り。 気配のする方に 意識を集中する。 その何かは じりじりと近づいて来て 徐々に姿が現れる。 その全貌は 見たことの無い獣で 例えるなら 大きな狼。 ただその大きさは 四つ足をついても 人の背丈程もあり。  
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