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「兄貴、兄貴、なってるよ携帯」
「…」
「あ に きィー」
「あ、ゴメンでなに?」
「はぁ~携帯」
俺は携帯を…切れた。
それは知り合いの画廊からの電話だった。
俺はすぐにかけ直す‥やめた。
話は分かっている
現在俺は弟の保と二人で暮らしている
両親は俺が高校の時事故で亡くした。
多少財産と呼べる物を残してくれたおかげで、俺達は生活に困ることはなかった。
保は何も言わないが淋しい思いをしていただろう…
「兄貴、さっきの電話って画廊からじゃないの?」
「たぶん」
煙草を吸いながら答える
「あーもう、そこで煙草吸うなっていてんだろうが」
保が灰皿を持ってきた。
「画廊に電話しなよ
どうせ頼まれた絵描いてないんだろ?」
「ハイハイ、わかってますよ」
俺は答えながら、ぼんやりと彼女のことを考えていた…
もう一度会いたい
その思いが強くなっていくのがわかった。
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