同級生なり

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沙希と亜紀を小学校の方に送って、俺は高校の体育館に向かっていた。 「おっす!!」 俺の肩を気安く、誰かが叩く。 俺が振り返ると、いかにも爽やか青年といった感じの男が立っていた。 青年は、ニカッと笑い、爽やかさを全面に押し出していた。 「修平か。おはよ。」 こいつが、俺の信頼している友達の佐原修平だ。 絵に描いたような爽やかさ、180cmを越える身長、容姿淡麗、運動神経抜群、おまけにバスケ部のエース、悪いとこを探す方が難しいと言われる男。 「なんだよ、ジロジロ見んなって。そんなに俺の容姿が羨ましいか、おぅ?」 少しナルシストなのが、たまにキズだな。 「なんでもない。で、朝から何の用だ?」 その答えを聞いて、呆れた表情を浮かべる修平。 「友達に挨拶するのは、当然のことだろ?」 「まぁ、な。」 「はぁ、お前って、変わってるよな?」 修平は、あからさまに溜め息をついた。 で、その後、怪しい笑みを浮かべる。 「俺は、普通だ。」 俺の答えは、決まってる。 俺は、修平のように爽やかでもなければ、身長が高いわけでもないし、容姿が美しいわけでもない。 一般に生きる人々の平均点くらいな人物だ。 あえて、人と違うことと言えば、何故かクセのあるヤツが集まることくらいだ。 もちろん、家族も含めて。 「ハァー、やっぱ気付かない、か。」 修平は、また呆れた様子。 修平のように恵まれたやつには、普通のヤツのことがわからないんだな。 「まぁ、いっか。そのうち、わかるだろうしな。それより、またクラス同じだといいな?」 悪意のない爽やかな笑顔。 これなら、モテても納得だ。 俺も、つられて笑ってしまう。 「キャー!!笑ったぁ~!!」 ほら、女子共の騒ぐ声が聞こえる。 「どうだろうな?まぁ、どうせお前とは、腐れ縁だ。」 「おっ、言うな。」 2人共、笑った。 俺達は体育館に向かった。
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