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そして、早々と時間は過ぎて昼。
部活に所属していない俺を除く、修平、小百合、悠里の3人は部活までの時間に食事を取るため、教室に残っていた。
当然の如く、俺も巻き込まれている。
「なぁ、俺が此処にいる意味はなんだ?」
美味しそうに昼飯を食う3人に問いかけた。
俺は帰る気満々だったため、弁当の用意はしていない。
「え?いつものことだろ?」
修平は、悪びれもせずに答える。
小百合と悠里もうんうんと頷いている。
「……。」
俺は返事の代わりに無言で答えた。
俺は毎日、こいつらの内の最低誰か一人に付き合わされている。
当番制のように日替わりだ。
「京ちゃんも部活に入ればいいんだよ~。」
小百合は、ニッコリ笑った。
頬についてるご飯粒をとってからにしてくれ。
「嫌だ。」
部活に入って、自分の時間を潰されるなんて、考えただけで寒気がする。
「京ちゃん、運動神経いいのにもったいないよぉ~。」
小百合は、なおも追い討ちをかける。
早くご飯粒を取れっ。
「そうだ。バスケ部に入れ。俺とお前のコンビなら全国狙えるぞっ。」
修平は、急に身を乗り出して、俺にグイッと顔を近付けた。
自分と俺を一緒にしないで欲しい。
俺は、平凡な男である。
キラッと光るような才能に恵まれているわけじゃない。
「駄目だよぉ~。京ちゃんは、悠里と一緒のフットサルに入るのぉ~。」
悠里は、修平を押し退けて、俺に微笑みかけた。
悠里はフットサル部に所属している。
まだ部に昇格したばかりで、男女の区別なく、共に練習している。
「駄目っ。京ちゃんは、陸上って決まってるのっ。フットサルなんかに入ったら、京ちゃんが汚されちゃうっ。」
汚されるって…なんだ?
それに、俺は陸上部に入る気もない。
勝手に人の進路を決めないで欲しいな。
てか、小百合、いつの間にお前のご飯粒は消えたんだ?
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