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上級生の皆が部活のTシャツを着込む中、俺は一年生に混じってジャージで主将からの部活のレクチャーを受けていた。
なんともやりきれないな…。
周りは皆、真新しい緑のジャージ。
そんな中、使い古された青いジャージ姿の俺は、周りから奇異の視線を一身に浴びている。
たまに留年?とか、先輩?とか聞こえる。
今日の俺の平凡は、すでに失われたようだ。
恨みの視線を修平に向けると、口を膨らまし、頬を少し紅潮させながらニヤニヤ笑いを返してきた。
いつか、殺す。
修平にはっきりとした殺意を覚えた時、ちょうど主将の話が終わった。
なんとも都合がいいな…。
「じゃ、まず、一年生は、男子と女子に分かれろ。で、先輩のとこに行って、ミニゲームだ。」
主将は、一年生とわざと強調して、俺をまっすぐ見据えた。
何故、この場面で嫌がらせなんだ?
一年生は、俺に同情の視線を向けつつ、いそいそと先輩達の元に向かった。
必然的に、俺と主将の一対一となった。
主将は、いきなり俺の肩を掴んだ。
「雲雀。待っていたぞ。お前がいないとやる気が出ないと、修平が真面目に練習しなかったんだ。」
主将は、目から涙を惜しげもなく垂れ流し、泣いていた。
修平、お前は何してんだ?
「…いや、でも…ま…」
主将の涙に思わず、入部の決意を固めそうになるが、ここははっきり断わ…
「さぁ、その実力を発揮してくれ。」
主将は、俺の言葉を遮り、ミニゲームへ送り出した。
今日は理不尽な日だ。
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