同級生なり

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俺が嫌々コートに向かうと、修平が迎えてくれた。 「お前、ちゃんと練習しろ…。俺が迷惑だ。」 嫌味を込めて言ったが、修平は首を傾げた。 「何の話だ?」 「主将が、お前が俺がいないと練習を真面目にしないとか、言われたぞ。」 俺は主将が伝えた言葉をそのまま伝えた。 「……?あっ、お前、主将に気に入られたなっ。もううちに入るしかないな…。」 修平は、すぐに合点がいったようで手をポンッと叩いた。 「は?何のことだ?」 納得できない。 何故、気に入られるんだ? 「主将に騙しは効かないって。お前が運動神経抜群なのなんて、すぐバレるって。あの人、そういうの見抜くのだけは一流なんだよ。」 ………最悪だ。 常日頃から、イメージトレーニングで自分を騙してきたのに…。 ま、どうせ本気なんて出さけりゃいいんだ。 「おぃ、わざと抑えんなよ。バレるぞ。ちなみに手抜きがバレたやつは、その場で体育館の端までぶっとばされたんだぞ…。」 他人のように話しているが、修平自身の体験のようだ。 目が泳いでるし、肩が微妙に震えている。 ただ一つ、理解した。 本気でやらなきゃ、確実に死を見ると…。 「…わかった。けど、入る気はないから、な。」 「よし。じゃ、京はどこやりたい?」 修平は、やけに嬉しそうにしている。 「どこでもいい。それよりミニゲームって、ハーフコートか?それともオールコートか?」 ハーフかオールで、俺の気持ちは随分変わってくる。 つまり、体力的に楽か否かそれが重要だった。 「ん?オールじゃないか?なんか主将が真ん中に立ってるし…。」 見ると主将は、でんっと中央にボールを持って待ち構えていた。 「間違いなさそうだな。」 俺は仕方なく、中央に向かった。 「試合を始める。先輩と一年生じゃ、体格差もあるだろうから、一年生ボールから始める。整列っ。礼。」 主将がボールを渡すと一年生、上級生共にコートに別れた。 「なぁ、修平。俺は何処にいれば、いいんだ?」 俺は、コートに皆が散っていく寸前に、修平を呼び止めた。 「京一は、昔みたいに自分に来たやつのボールを取りにいって、取ったら単独でゴールに向かっていいよ。いきなりチームプレイなんて、無理だろ?」 修平は、グッと親指を立て、ニカッと笑った。 「了解。じゃ、勝負だな。お前らと俺がどっちの方が点数とるか。」
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