同級生なり

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「言ってくれるな。俺達は一年間、一緒に汗を流したんだ。負けるわけないだろう?」 修平は、さっきの嬉しそうな顔のまま笑った。 「終わってから、言ってもらおう。一年生には申し訳ないが、この試合は俺がもらう。」 俺の一言を皮切りに試合が始まった。 まずは、バスケット経験者であろう一年生が、俺にドリブルで迫ってきた。 まぁ、ドリブル自体は悪くないが、ずっと下を向いてるのはどうかと思うな。 パスする気がないのが、見え見えだ。 リングも見てないし、確実に俺を抜きに来てるようだ。 近づく度に、ドリブルは速さを増していった。 そして、俺に向かってくる瞬間に反転。 相手はそのまま突っ込もうとするが、 残念。 ボールはすでに俺が持ってる。 相手は、いつ取られたかもわかっていないようだ。 俺は悠々と敵陣ゴールに向かった。 もちろん、やるからには勝つ。 俺は味方がリバウンドについたかどうかも確認せず、3Pを放った。 パシュッという小気味の良い音と共にボールは、リングに触れることなく落ちていった。 会場は、沈黙に包まれた。 そんなこと気にせず、自陣のコートに戻ると、 「京一は、相変わらずだな。」 そう言って、修平は笑ってくれた。 「まぁ、な。」 俺も少し笑って答えた。 一年生や、他の見学者達は呆気に取られたままだった。 「一年、早く始めろっ。俺達が負けちまう。」 修平が、叫ぶと一年生は、我に返りいそいそとボールを取りに行った。 「さ、次は俺達の番だっ。行くぞっ。」 「「「おぅっ。」」」 修平の掛け声と共に残りの3人は、我に返り、一年生にプレスをかけ始めた。 異様に気合いが入っていて、一年生が畏縮している。 そこまでする必要があるのか? 俺は次のプレーは、修平達に花を持たそうと、傍観を決めた。 修平達は、見事に連携していて、パス回しにも無駄がなく、統一感のあるものだった。 しっかりと相手を見て、弱点をつく。 基礎がしっかりとしたチームだった。 修平も顔に似合わずチームプレイに徹している。 まぁ、勝つのは、俺だけど。
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