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大体、バスケなんてのは、チームワークありきのスポーツだ。
生憎だが、俺は団体競技に向いているとは思えない。
ほら?遠足とかですぐに迷子になる奴とかいるだろ?
俺はご他聞に漏れずそういう人間だ。
別に気取っているわけじゃなくて、実際に遠足とかに行くと気付いたら迷子になってる。
輪を乱したつもりもないのに、気付くと誰もいない。
そんなタイプの人間なんだ。
そんな俺がチームワークを必要とするバスケ部に所属したら、迷惑をかけるだけで、プラスに働くことはないだろう。
それにどちらにしろ、今、即決したら、悠里や小百合に何をされるかたまったもんじゃない。
「主将、京はこれから何個か部活体験するんで、まだ決めれませんよぉ~。」
修平が片目を閉じて、俺に笑いかけた。
俺も手を出して、すまんと答えておいた。
「そうか。だが、体験が終わったら、いい返事を待ってるからなっ。」
そう言って、ガシッと俺の肩を掴んで、ニカッと笑った。
眩しいな…。
「で、この後は何をするんだ?」
俺はいち早く主将から離れるため、修平に声をかけた。
修平もすぐに気付いた。
「う~ん、皆、沈んじゃったから、女子の指導とかじゃね?」
この言葉に女子バスケ部が異常反応を示した。
「きゃーやったぁー。」
あちこちから歓声が上がっている。
さすが修平だな。
女子の声のトーンが異常に高い。
修平、頑張って…
「どこに行くんだ?」
立ち去ろうとした俺は主将に肩を掴まれた。
「指導なら、修平と主将がやるんでしょ?俺は…」
「あれだけ点を取って、活躍した上、部員の心を折っておいて立ち去るのか?」
顔に似合わず皮肉を言うんだな…。
もっと爽やかだと思ってたが。
「わかりました。」
俺は仕方なく、女子の指導も手伝うことになった。
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