19人が本棚に入れています
本棚に追加
女子バスケ部は総勢20名程だった。
結構少ないと思うだろうが、うちの部活は競争が激しいため、レギュラーになれない大半が2年にはやめてしまう。
だから、これだけになってしまっている。
主将、修平、俺と3人がそれぞれ指導することになった。
主将と修平に集中して、皆が集まるだろう。
俺は2、3人を適当に教えればいいだろう。
が、本日の俺の平凡はすでに奪われていたらしい。
気付くと、予定通り3人ほどが目の前にいた。
皆、長身で俺と同じくらい。
小さいくても、俺の肩くらいに目線がある。
ちょっと威圧感があるな。
1人は、やたらガン見。なんだか敵意を感じる。
敵意を振り撒くなら、俺のところに来ないで欲しいと切に思う。
もう1人は目を合わせると下を向いて、挙動不振。
目すら合わせない人間をどうやって指導するんだ?
最後の1人は、ニコッと笑いかけてくれた。
こいつが一番まともだな。
ただ、俺の周りに集まる人間は、癖が強い。今まで生きてきた中で、まともなやつに会えた試しがない。
なので、気は抜けないな。
平和に終わればいいんだが。
「ねぇ、あんた。」
俺が3人を観察していると、敵意を持った声が聞こえた。
もっとマシな言い方をして欲しいものだ。
初対面の人間にあんたはないだろう。
「…なんだ?」
対して、俺も初対面だと少しぶっきら棒になってしまう。
「昔、バスケットやってたの?」
割りと普通な質問だな。
よかった。
「授業でやったな。」
俺は昔から部活に所属していない。
まぁ、あんな家族だし、こんな俺だから仕方ないだろう。
最初のコメントを投稿しよう!