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「そ、それ本当なの?」
またもや動揺している。
忙しいやつだ。
落ち着いたと思ったのに…。
「あぁ。気になるなら、修平に聞いてくれ。俺が言っても説得力に欠けるだろうしな。」
会って間もない俺に信用もへったくれもない。
初対面の人間を信用できるような菩薩のような心なんて、俺も持ち合わせていない。
「わ、わかったわ、う、嘘だったら、承知しないからねっ。」
「特ダネですぅ~。」
あの2人は、仲が良いんだろうなぁ。
一緒にピューッと走り去っていった。
ところで、特ダネってなんだ?
ま、とりあえず、そのまま向こうで指導を受けてて欲しい。
「行かないのか?」
俺は、厄介払いも兼ねて、またもや笑顔に戻っている女に話しかけた。
「なんで?」
女は不思議そうに小首を傾げた。
「いや、嘘かもしれないだろう?」
しつこいようだが、初対め…以下略。
「嘘じゃないでしょ?嘘吐く意味ないじゃん。すぐバレちゃうのにさ。」
中々、賢いみたいだな。
「それにさっきのアレ見たら、信用できるって。」
女は、未だ立ち上がれない部員を指さした。
そろそろ立ち上がって欲しい。
主将に蹴られてる。
「あたしに、3Pシュート教えて。あと、ディフェンスの仕方も。」
相変わらず崩れない笑顔のまま、話を続ける女。
「わかった。まずは…」
それから、小一時間程、シュートやディフェンスについて指導していた。
飲み込みが早い。
さすがは、精鋭だな。
そうして、部活体験一日目は無事終了した。
ただ、
彼女らの名前はわからなかったな。
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