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「バスケ部は、どうだった?」
今は帰り道、修平が嬉しそうに俺に聞いてきた。
「悪くはなかった。でも、時間が勿体無い。俺は俺のために時間を割きたいんだ。」
確かに楽しかった。
でも、やっぱり向かない。
俺には汗水流すより、本でも読みながら、家族と過ごす方が性に合ってる。
まっ、面倒見ないといけない奴が多いだけなんだけどな。
「まっ、家庭の事情ってのもあるんだろうけどさ。何かやっとかねぇと、大事な青春が逃げちまうぞ。」
修平はお見通しのご様子。
「…俺は、汗を流すだけが青春じゃないと思いたいな。」
平穏な日常だって、立派な青春だろ?
「バーカ。そうゆうんじゃねぇよ。単純に俺や悠里達は、お前とおんなじ景色を見てみたいだけだっつうのっ。」
修平に鞄でどつかれた。
よくもまぁ、そんな臭いセリフをヌケヌケと言い放てるもんだ。
お前じゃなかったら、許されちゃいないっての。
「そっか。」
とりあえず、短く答えて置いた。
「まっ、出来れば、バスケ部に入って来て欲しいけどな。」
修平が爽やかに笑う。
つくづく男に生まれて良かったと、思うよ。
もし、俺が女なら、隣で毎日爽やかにされてたら、大変なことになってた。
「考えとく。とりあえず、あと2つはこなさないといけないからな。」
それっきり、部活の話はなく、俺達は寄り道もせず、真っ直ぐにお互いの帰路についた。
ただ、一つ気になったのは、女子の指導の時に俺が教えたのは、全員、部活のTシャツを来た奴らばかりだったことだった。
しかし、それを口にすることはなく、俺達は別れた。
翌日、俺の平凡な高校生活は見事にぶち壊されることも知らずに。
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