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授業終了の合図と共に、修平達が俺の机に集まってくる。
周囲の連中はチラチラと俺に視線を送ってくる。
例外と言えば、銀髪だけが、興味なさそうに外を見ている。
出来れば、皆もその状況であって欲しい。
「相変わらず、大変だな。」
修平が俺の前の席に座る。
そのニヤニヤした笑いをやめろ。
「京ちゃんも大変だねぇ~。」
「だねぇ~。」
小百合と悠里が両サイドの椅子を寄せる。
何故、密集する。
お前らが来ると、また目立ってしまうじゃないか。
ただでさえ、クリスの件で視線が集まるのに、修平達のような美男美女が集まったら、余計に目立つ。
「………。」
だから、無言の抵抗だ。
「そんなに落ち込むなって。どうせ、もう手遅れなんだしさ。」
確かにな。
もう地道に誤解を解…
「そだよぉ~。もう桜峰は朝から、京ちゃんの話で持ちきりなのぉ~。」
小百合が指を立て、俺に迫る。
何?
…あさから?
「だよね。桜峰の最終兵器、表るってね。」
悠里も嬉しそうに頷く。
「やっと、皆が京の素晴らしさに気付いたなっ。」
修平も誇らしげに胸をはる。
ちょっと待て…。
展開がわからない、なんで俺が最終兵器なんだ?
「京ちゃん、これぇ~。」
小百合が、紙切れを一枚、俺に渡してくる。
桜峰新聞?
紙にはデカデカと見出しが書かれていた。
『桜峰の最終兵器、現る。』
最悪だ。
1年掛けて築いてきた俺の平々凡々な高校生活は、たった1枚の紙切れに拠って、見事に美しく崩壊した。
それから、放課後まで俺の記憶は曖昧になっている。
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