家族なり

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ドタドタと、なんとも品のない足音が響く。 「ちょ、あっ、きゃ―――っ!?」 ………。 どうやら、こけたみたいだな。 「いったぁ~いっ!!京ぅ~、助けてぇ~!?お姉ちゃん、立てないよぉ~!!」 朝から騒がしいやつだ。 でも、これで無視すると延々と泣き続けるため、仕方なく手を止め、階段に向かった。 「なぁ、姉よ。いつになったら、まともに階段を降りれるようになるんだ?」 毎朝の恒例とはいえ、もういい加減に飽々する。 まぁ、そんな愚痴をこぼしたからといって状況が変わるわけでもないので、転んで涙目になっている姉こと、春美に手を差し出す。 「ありがと♪京はやっぱり優しいね♪」 そう言って、俺を見上げる姉は、世の男性から見れば、大変美人に分類されるらしい。 姉弟である俺からすれば、特に意識する必要もないことなのだろう。 「はいはい。今、父さんが風呂に入ってるから、ついでに入ってきたら?」 「ラッキー!!髪、洗ってもらお~うっと♪」 春美は、風呂場へ走っていった。 これは、雲雀家ならではの状況である。 家族全員が仲が良い。 普通の家庭ならまず、あり得ないだろう。 このことをクラスの女子に話したら、ドン引きされてしまった。 家族の仲が良いのは、悪いことじゃないんだから、いいだろう。 「さて、後は、沙希と亜紀だな。全く、たまには、自分で起きて欲しいもんだ。」 軽く溜め息を吐きながら、階段を登る。 沙希と亜紀は、下の妹。 ちなみに、沙希が小学5年生で、亜紀が2年生だ。 コンコン 部屋をノックする。 「沙希、亜紀、朝だぞ。起きろよ。」 「………。」 返事がない。 これもいつものこと。 たった一言で、解決する。 「起きないと、今日、送ってかないぞぉ~。」 「「だ、駄目ぇ~!!!」」 勢い良く、扉が開いた。
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