家族なり

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おおっと忘れていた。 俺の家族は、全員、巨大学園、その名も私立桜峰学園にいる。 桜峰は、小、中、高、大学とエスカレーターである。 まぁ、わりと金持ちが揃っている学園だ。 父さんが理事長、 母さんが校長、 姉さんが高校教師にして、俺の担任、 沙希と亜紀は、その下の桜峰小学校に通っている。 なので、ぶっちゃけて言うと、うちは相当な金持ちである。 が、ただ、引っ越すのが面倒だというだけで、今の普通の家に住んでいる。 で、話を戻す。 「えぇ~!?杏子!?聞いてないぞっ!?」 父さんが、箸を落とす。 「それ、本当なの!?」 母さんも驚愕の表情だ。 「京ぅ~!!なんで言ってくれなかったのぉ~!?」 姉は、頬をぷぅ~と膨らませている。 3人の視線がまたもや俺に集まる。 ちょっと不機嫌そうだ。 ………。 自分の予定くらい、ちゃんと自分で把握しておいて欲しいもんだ。 「そこに書いてあるし。」 俺は、冷蔵庫の前に貼ってあるカレンダーを指さした。 「「「……ッ!?」」」 3人共、席を立ち、一気に走り出した。 ドタドタドタドタ 「京くんっ!!ね、ネクタイ忘れてるぅ~!!」 「春美!!それは、父さんの靴下だっ!!」 「母さんっ!!それ、喪服だからっ!!」 3人の慌ただしい声が響くこと、十数分。 「「「いってきまぁ~す!!!」」」 3人は、何とか出発した。 「大変だねぇ~♪」 沙希は嬉しそうに、俺に首を傾げる。 「だねぇ~♪」 亜紀も同じく嬉しそうだ。 「だな♪さて、お前らも早いとこ食べちゃって、準備しろよぉ~。」 俺は、2人に微笑んだ。 「「はぁ~い♪」」 可愛いらしい返事と共に、2人はまたご飯を食べ始めた。 俺は、流しに父さん達と自分の食器を片付けると、2人を眺めていた。
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