起床はとても不機嫌に

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「……で、住む場所がないからうちを頼った、と」 博麗神社の客間。 腋を大きく露出した紅白の巫女服を着た少女が――この少女が博霊神社の巫女、博麗 霊夢だという――が、ジト眼で紫を睨む。 「うちは宿じゃないのよ……? そこら辺わかってくれる? あと賽銭いれなさいよ」 「あ~……悪かった。 宿探す。 賽銭? 賽銭ならさっき入れたぞ?」 霊夢の眼が光り、身を乗り出す。 「本当!?」 「あ、あぁ。 いや、当たり前だろ、賽銭箱に賽銭いれんのは」 「うぅ……! 私、初めてまともなのに出会った……!」 何故か涙を流し、感動する霊夢。 その霊夢を、紫はニヤニヤと見ると、わざとらしく呟いた。 「あ~あ。歩いてわざわざ神社まで来て、賽銭まで入れるようないい人を、いきなり追い出すなんてね~」 「う……」 霊夢はそう呻くと、「むむむ……」と悩みはじめた。 壊煉はというと、ここは紫に任せておくことを決め、静かにお茶をすすりながらことを見守っていた。
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