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――時計の針が4時29分を指している。 僕は教室にひとりぼっちだった。 いや、遅すぎだろ。5分前には来るようにって言ったじゃん。 「来ねぇ。サボるつもりか。」 ガタンッ!!! 「何だって!?」掃除箱から物凄い勢いで乃亜が出てきてそう言った。 「………」 こいつ。 「お前いつからだ」 「ん?何の事かな?」乃亜は口笛を吹きながらとぼけた。 「今日も一日いい天気だなぁ」 「掃除箱の中なのにか?乃亜」 「……」 こいつ本当に学年でトップクラスの成績なのか? まぁ、どーでもいいけど。 「で、滴たんはドコだ?」 目的はソレか…。 「まだ来てないけど」 それにしても遅い。もう34分だし。 「それ以前にお前仕事はどうした?」 乃亜は払い屋をしている。 要は霊を成仏させてやるのだ。 対して僕は呪い屋を仕事としている。 この世には霊になってからも、あるいは霊になってから生きている人に害をなす悪霊がいる。 僕は、それらに呪いをかけ苦しめ、苦しめ、苦しめて――消す。 まぁ、苦しめはするが消す事は滅多に無い。 苦しめられて改心する奴もいるからだ。 そして改心した奴、元々悪くない奴を乃亜が成仏させてやるのだ。 「最近なぜか霊がいないんだ。お前消しまくってんじゃないか?」 「んなワケねーだろ」 でも、何でいないんだ?ここら辺の呪い屋は僕だけのハズ……。 払い屋も乃亜だけだしなぁ。 まぁ、どーでもいいか。
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