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校舎から出てみると流石に人数は少なく、校庭で部活をしている生徒ぐらいしかいなかった。
まぁ、放課後だし。
「で、滴その女の子は?」
「えーと。あ、向こうだよっ向こう!」
滴が指した門の端の方には、乃亜の言っていた通りの白いワンピースを着た髪の長い色白の女の子がどこを見るでもなく立っていた。
そこに居るのが当たり前であるかのように。
そこに在るのが当たり前であるかのように。
そこに居るのが必然であるかのように。
そこに在るのが必然であるかのように。
女の子はそこに居た。
女の子はそこに在った。
確かに人じゃないな。
その女の子は本当に白く、顔立ちは調っていて漆黒の黒髪は背中まで伸びていた。
その姿からは、幼いという雰囲気は微塵も感じとれないだろう…。
それにしても、やはりどこかで見た事があるような気がするな。
思い出そうとしても思い出せない。
思い出す事が怖いような気さえしてくる。
「おい、乃亜」
「ん?どうかしたか?」
「……いや、何でもない。行ってみるか」
「ああ」
その子に近づいてみてもやはり、立ち尽くしているばかりでこっちに気付いてなさそうだ。
さて、ここは誰が話し掛けるべきだろう…。
――まぁ、いいか僕で。
「えと、こんにちわっ♪」
「……」反応ナシ。
聞こえなかったのか?
いや、それ以前にテンション高めで言ったのに反応ナシとか……。
ヤバイ、恥ずかし過ぎる。そして、イタイ。
しかし僕は、めげずに今度は肩を叩いて言ってみた。
一定量以上の霊力があれば触る事も可能なのだ。
「こんにちわ」
流石に2度もテンション高めでいける程の勇気を僕は持っていなかった。今度こそ…っ。
「……」
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