2

5/6
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
え?いや、多分声が小さかったんだろ。 でも肩叩いたんだけど……。 くそっ……こうなったら。 「こんにちわっ!!!」 声の限りに叫んでみた。 滴と乃亜が呆然としている中やっとでその女の子がこっちを見た。 そして、閉ざされていた口がやっとで開かれた。 「なんやワレェ!!いちいち叫びなやボケが!!」 「………」 「一回言えば分かるわアホッ!!」 え?この子外見と性格合ってねぇ。 やはり、滴と乃亜は呆然。 いや、何でこいつら呆然?! 滴は話してるし、乃亜も会ってるんじゃなかったのか? 「何か言えやボケナス!!」 もしかして、僕だけ嫌われてる? 「え、いや、なんつーか、ゴメンナサイ」 「うっさい!!」 え?今なんか言えって……。 「お前、僕の事嫌いだったり?」 「っ…何で分からへんのやボケ!!」 いや、えと、何の事? わけもわからず突っ立ってる僕の横を滴が通りすぎ、その女の子を抱きしめた。 「大丈夫。大丈夫だからね。」 触れてる…? かなり霊力が高くないと触れないハズなのに。 普通にその子の頭を撫でていた。 「泣かないで?ね?智夜(ちよ)ちゃん」 智夜ちゃん…名前か。 「せやかてアイツッ」 そのまま智夜ちゃんは泣き出してしまった。 僕も慰めるべきかな? 泣かれたままは嫌だし僕も一応智夜ちゃんの頭を撫でてみた。「ごめんね」 すると智夜ちゃんは鳴咽をもらしながら言った。「別にっ!怒ってるワケちゃうねんで!!」 何故か顔を真っ赤にしている。 泣いてるからか。 「うん。わかってる」 ふと、滴が智夜ちゃんに何か囁いた。 すると、さっきよりも顔を真っ赤にした智夜ちゃんが少しの間を置いてぎこちなく、本当にぎこちなく僕に笑いかけてくれた。 そして、謝った。 「う、うちが悪かってん……ゴメンな」 意外と素直だな。 「あぁっ!もぅイヤヤッ!行くわっ」 智夜ちゃんは物凄く顔を真っ赤にして消えてしまった。 見間違いかもしれないけど消える間際に少しだけ笑っていたような気がした。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!