狭間1

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アクセルを振り絞り交差点を左折して行く。 猛スピードで逃げる赤いテールランプが、やっと視界に入った。 「馬鹿が‥信号全部無視しようばい」 直線でアクセルを絞り、スロットルを全開にする。 黒いセダンに一気に近付くが、路地に入ったにもかかわらず一向にスピードを緩めない。 「100㌔…やばいな」 逃げ惑うセダンは、勿論、俺の追尾に気付いている。 蛇行しながら走るそれとの距離は20メートルまで狭(せば)まった。 「よし…あのカーブでまくるか」 高速のままカーブへ進入する。 いくぞ!……今だ! 俺はバイクと体を思いっ切り左に倒して、セダンの倍のスピードで横をすり抜け様とした…… 全身に衝撃が走る。 運転席の奴と目が合っている。 あれ?……何も掴んでない…… そして、目の前には夜空の星が瞬いていた…… …… …… いまいったこと…… いい?…… おねがいね…… ピコーンシュコー ピコーンシュコー ピコーンシュコー この機械音はなんだろう…… 「おい!先生呼べ!」 「え?」 「動いた!目開けた!」
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