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アクセルを振り絞り交差点を左折して行く。
猛スピードで逃げる赤いテールランプが、やっと視界に入った。
「馬鹿が‥信号全部無視しようばい」
直線でアクセルを絞り、スロットルを全開にする。
黒いセダンに一気に近付くが、路地に入ったにもかかわらず一向にスピードを緩めない。
「100㌔…やばいな」
逃げ惑うセダンは、勿論、俺の追尾に気付いている。
蛇行しながら走るそれとの距離は20メートルまで狭(せば)まった。
「よし…あのカーブでまくるか」
高速のままカーブへ進入する。
いくぞ!……今だ!
俺はバイクと体を思いっ切り左に倒して、セダンの倍のスピードで横をすり抜け様とした……
全身に衝撃が走る。
運転席の奴と目が合っている。
あれ?……何も掴んでない……
そして、目の前には夜空の星が瞬いていた……
……
……
いまいったこと……
いい?……
おねがいね……
ピコーンシュコー
ピコーンシュコー
ピコーンシュコー
この機械音はなんだろう……
「おい!先生呼べ!」
「え?」
「動いた!目開けた!」
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