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「それで…どうしたんだい?」
ポカンとしている僕に気付いて、ひとしきり笑うと神父は尋ねてきた。
「あ。……うん。今日センター試験があったんだけど……」
朝のことを振り返った。
出会った彼女の事を思い出している時から、
「………女の子に………会った……」
遠くのほうから砂嵐のような音が聞こえてきた。
そう。いつもラジオから聞こえてきた音。
「それから……気を失って……」
それは段々近づいてきて
「……ぅ……試験……受け…」
頭痛をともなって
「……れ………な………かっ…た………ァ…」
僕から言葉を奪う。
『……ガルゥ………』
「真央くん!!」
神父の声は聞こえている。
でも辺りは真っ暗だ。
<僕は………>
状況がよくわからない。
頼りなのは耳から聞こえてくる情報だけ。
「真央くん?」
『……ゥ……………その声……あン時の小僧だな…』
「…っ!! その喋り方…………封印が解けたのかっ?!」
『そのようだ。残念だったな人間』
ククク…という笑い声と共に僕の中で昂揚感が広がる。
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