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『神父! コヤツは自分が魔王だという事さえ知らんぞ』
クハハ…と笑う魔王。
「真央くんには何も話ていない。それが朝野さんの………太陽さんの願いだった!」
<朝野太陽…ばあちゃんの名前。本当に朝の太陽みたいに朗らかな、優しさの溢れる人だった>
『名は体を表すっていうがな、力も躯も弱く老いた太陽に、どれほどの力があると思う?』
「太陽さんの事を悪く言うなっ!!」
『そもそも、封印した時からわかっていたはずだ』
[6の数字が重なる時
再び封印解け
魔王は再臨する]
神父は昔言われた事を思い出していた。
「………真央くん……」
神父は準備を怠った自分を悔い、心配するように呟いた。
『おい。本当にコヤツは自分の存在意味も、ババァの死んだ理由も知らないんだな。教えてやってもいいか?』
「やめろっ!」
『いいな?』
魔王の赤き瞳に睨まれ、神父は悔しそうに顔を歪ませ、クソ…と呟く。
『6月6日6時66分66秒に生を受けし者
魔王の生まれ変わりなり
とある。これがお前であって我がいる。
時間が変だと?
魔王時間だからいいのだ』
グハハ…と笑って、再び大きな声の独り言を始める。
『お前が6才になる前日、封印師をしていたババァが
己が命と引き換えに
我を封印した。
その時神父、お前も一緒にいたなぁ』
「ああ…」
『まだまだ若造だったお前の将来を考えて…いやいや。お前に我の封印なんぞ出来はせん! 今も、昔もなァ』
「ああ…そうだよ! 全く…ヤな事ばかり思い出させる……」
愉快に笑う魔王とは裏腹に、神父の胸中は穏やかではない。
『そして、6が3つ重なる日が来た。
昨年の誕生日でお前は18になったな。おめでとう。
これで我が外に出る準備が整った。
ん? なんだ?
重なってないだと?
ククク…これだから人間は愚かだというんだ。6を3回足すんだ。同じ事ではないか。
そもそも人間時間に合わせてやっているんだ、感謝ぐらいしたらどうだ?
だいたい老いた躯を手に入れた所で何ができるというんだ!?
転生する意味がなかろう?』
魔王は上機嫌でベラベラ喋った。
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