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目を覚ました場所は玄関だった。
自分のアパートの玄関の真ん中、ブーツも脱がないまま倒れた込んだらしい。起き上がろうとすると、頭が割れるように痛い。
「どうしてこんな所で…」
倒れたまま腕時計を見た藍はため息を吐いた。午後2時過ぎ…藍の受ける講義はとうに終わっている時間だった。
これはただの寝坊ではないことを、藍はわかっていた。だがやはり、口には出せない。
この頃こういう事がよく起こる。倒れるまでにはいかなかったが、朝は起き上がれないほどのめまいと頭痛に襲われていた。
そしてついに、倒れるようになってしまったらしい。明らかに症状は悪化していた。
しかし、だからと言って大学や箏を休むわけにはいかない。つまり放っておくしか手立てがなかった。
昨夜の雨のおかげで、服も体も泥にまみれていた。一体どうやって帰ってきたんだろう…?
───ピンポーン…
背中の方でチャイムが鳴った。が、こちらはそれどころではない。
ただ、記憶にはないが鍵はかけていたようなのでホッとした。
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