12人が本棚に入れています
本棚に追加
*
「鍵が掛かってない…!」
「藍!!」
柊一は扉を無理に開け放ち、藍のアパートに上がり込んだ。
「藍…いるのか!?」
柚子も後から入って、浴室や寝室など全ての部屋を捜した。
「いないみたいです…他を回りましょう」
──ピピピピピピ……
柊一の携帯電話が腰ポケットで鳴っていた。2人とも気が動転していて気が付かなかったようだ。
「もしもし…」
『俺だ。駿だ』
「駿か…そっちに連絡は…」
『ああ。さっきから藍に掛けてて、やっとあいつしゃべったんだ!場所は…』
「俺の家…?なんで俺の家なんだ」
『いいからそんなこと!早く行けよ!』
駿の怒号で耳鳴りがした。
──おい…ダメだって、そんなところで寝たら…
『うるさいなぁ…どこで寝たって…同じよ…』
藍は半分寝ていた。ソファの上で格好も気にせずに横になる姿を、駿は見ていられなかった。
『…藍。俺は…帰るから』
駿は藍のやわらかい髪を撫で、唇を重ねた…。
『ごめ…なさい…しゅう…』
『…え?』
濡れた瞼が近く…すごく近くにあった。眉根を寄せ、夢の中で泣いていた。
『…しゅう…いち…』
最初のコメントを投稿しよう!