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逆算すれば、発作が起こってから4時間以上は経っている。こんなに長く発作が続いたことはないはずだ。
柊一は温かい湯で濡らしたタオルで汗や涙を拭ってやった。
藍の手が、柊一の上着の裾を掴んだ。
「せん、せ…」
「ん?」
心なしか、藍の顔が急に痩せた気がした。いつも彼女に呼ばれた時の温かさを感じられない。柊一は自身の体が震えていることを気付かれまいとして、懸命に笑顔を作っていた。
「さ…寂しかっ……あたし…」
消えてしまいそうな掠れた声で、拭いた瞼から涙が止めどなく溢れていた。
「俺も、つらかった…ごめんな…」
「あた、し…死んじゃう…の?」
「何言ってんだよ。箏弾きたいんだろ?だったらそんなこと、あり得ない…」
「銃で…撃たれた方が…ラク…」
柊一の表情が強張ったのを、柚子は不思議に見ていた。
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