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今日の話題はそれとは違う。
「調弦はおろか、弾き手の腕もサイアク。気分がわるくなってさぁ…」
藍はため息をつき、頭を抱えた。
「藍は耳が良すぎるのよ。私は心地よかったけどなぁ」
「耳なんて普通よ。でも…何かが変なのよ…」
「ふーん……」
柚子は長い脚を組み、頬杖をつきながら藍を見た。
その意味深な相づちを不思議に思っていると、背後から影が落ちてきた。
「悪かったなァ、気分わるくさせて」
ひっ!と息を飲み振り向けば、濃紺のスーツを着た男性がニコニコ笑いながら立っていた。…額に青筋を立てながら。
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