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「………辞めよ?」
人気のない森の中、足下には草木が青々と生い茂り、空は見たことのない巨大な植物が塞いでいる。
所々から差し込む木漏れ日が神々しく輝き、辺りの岩の座り込んでいる青年に降り注いでいた。
「却下」
青年の問に即答をする少女は青年に背中を向けて自分の目の前に続いている横穴のような洞窟を見つめていた。
洞窟の入り口には風が吸い込まれていき、明らかに普通では無いのが見受けられる。
大きさも確実に人間が出入りするためには大きすぎる。
「流石に無理だと思うよ? level2の俺たちじゃ死んじゃうって」
青年は自分のポケットから会員証のようなカードを取り出しプラプラとふっている。
「そんなのやってみないと分からない」
少女は俄然として引かない。
それよりも先ほどより口調が厳しくなっていた。
「…………世の中に、やらなくても分かることは沢山ある。
その内の一つはコレね」
青年がやる気の無さそうに空を眺めると、少女は振り向き青年に指を指した。
「じゃあ、あんたそこにいなさい。 私一人で行ってくる……」
少女は力強く大地を踏みつけ洞窟の中へと進んで行った。
青年も少し見送って行ったが暗闇の中に吸い込まれるように消えて行った少女を見ると……
「はぁ---……
さてと追いますかね。アイツに怪我をされると困るのはオレなんだから」
ゆっくり立ち上がり、洞窟へと足を進めて行った。
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