迷走する花嫁

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あった。 目の前に広がる、結婚式場。 が――― 「えっ……」 千鶴は、ア然とした。 ドア付近の看板に、自分達の苗字どころか、他人の名前が書いてある。 なんで?今日、ここで式をあげるのは、あたし達のはずなのに―――。 おかしいと思った千鶴は、携帯を取り出して、真弘に連絡をしようとした。 しかし、携帯は電池が切れていて、使えなかった。 どうして?ちゃんと充電してきたのに―――。 ならば、と、式場内に入ろうとしたのだが、自働ドアのセンサーが感知しないらしく、開かない。 いくらやっても。 なんなのよ、もう! 千鶴は苛立ちを覚えつつ、とりあえず大通りに出た。 誰かに。 誰かに、助けてもらおう。 式場内に入って、話が出来れば……。
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