8人が本棚に入れています
本棚に追加
「で、そこらへんの人に話かけてた…と」
「そうなの」
「でも、見えない……シカトされるんですよね?」
「ええ」
咲は首を傾げた。
じゃあなんで、俺には見えるのだろう。
でも―――
「千鶴さん。俺、千鶴さんの力になります。なんでかわからないけど、俺じゃなきゃダメなような気がするんです」
咲が真っ直ぐにそう言うと、千鶴は笑んだ。
「ありがとう、助かるわ」
咲も笑んで、軽く頷いた。
「ねぇ、一つ聞いていいかしら」
「なんですか?」
「今日は2月20日よね?」
千鶴が何気なく言ったその言葉に、咲の表情が変わった。
「何言ってるんですか!今日は4月20日ですよ!」
4月20日―――。
「え?4月?ほんとに?」
こんなことを嘘をつくわけもないのに、千鶴は聞き返した。
「はい!」
しかしやはり咲の答えは、変わらなかった。
―――なんで?
あたし達の式は2月20日……なんで2ヶ月も前なの?
それより……どうしてあれから2ヶ月も経っているの?
何かが、おかしい。
思えば、式場についた時から―――。
最初のコメントを投稿しよう!