迷走する花嫁

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「で、そこらへんの人に話かけてた…と」 「そうなの」 「でも、見えない……シカトされるんですよね?」 「ええ」 咲は首を傾げた。 じゃあなんで、俺には見えるのだろう。 でも――― 「千鶴さん。俺、千鶴さんの力になります。なんでかわからないけど、俺じゃなきゃダメなような気がするんです」 咲が真っ直ぐにそう言うと、千鶴は笑んだ。 「ありがとう、助かるわ」 咲も笑んで、軽く頷いた。 「ねぇ、一つ聞いていいかしら」 「なんですか?」 「今日は2月20日よね?」 千鶴が何気なく言ったその言葉に、咲の表情が変わった。 「何言ってるんですか!今日は4月20日ですよ!」 4月20日―――。 「え?4月?ほんとに?」 こんなことを嘘をつくわけもないのに、千鶴は聞き返した。 「はい!」 しかしやはり咲の答えは、変わらなかった。 ―――なんで? あたし達の式は2月20日……なんで2ヶ月も前なの? それより……どうしてあれから2ヶ月も経っているの? 何かが、おかしい。 思えば、式場についた時から―――。
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