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ここは、人間が暮らす地上の世界とは別の、天使たちが住まう異界の国。
空には太陽も月もなければ、朝や夜といった時間もない。
けれど時の流れは人間の世界とほぼ同じであり、天使たちが〈命の樹〉と称している大樹の放つ明かりが、この世界の太陽のような役目を果たしている。
昼と言うほど明るくはなく、夜と言うほど暗くもない、ちょうど黄昏時のような明るさが、常に世界を包んでいた。
大地には、地面を覆いつくすほどに、色とりどりの花や植物たちの命が芽吹いている。
この世界には、〈命の樹〉が放つ自然の力が満ちているので、植物たちは決して枯れることがないのだ。
「これで来年も、人間界で綺麗な花を咲かせられるな」
ジークは〈命の樹〉を見上げながら、そう呟いた。
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